年収600万円のコインランドリー運営は本当に魅力的な投資先か?

日経ビジネスオンラインにコインランドリーチェーンを展開する「WASHハウス」の記事が掲載されていました。

2002に宮崎市内に1号店を立ち上げ、2004年には福岡に進出、九州全体に店舗網を広げ、2015年には大阪、2016年には東京にも出店、現在、全国で410店を運営しています。

これまでの古臭く、暗くてジメジメしたコインランドリーのイメージではなく、全面ガラス張りで、店内は明るく、コンビニエンスストアのように女性が一人でも気軽に利用できる店舗づくりが特徴です。これまでコインランドリーを利用していなかった層の需要を取り込み、利用者数を伸ばしています。

コインランドリーチェーンの成功モデルと言っていいでしょう。

同社はフランチャイズ形式で店舗を展開しており、出店費用がFCオーナーすべて負担します。店舗運営はWASHハウスが担い、FCオーナーは顧客対応や洗剤の補充などの日々の店舗運営に関与する必要がありません。宣伝活動もWASHハウスが行います。

FCオーナーが負担する初期費用は、洗濯機や乾燥機の設備、FC加盟補償金などで2,300万円です。この他に、土地や建物代が加わります。

1店舗辺りの売上は100万円程度が見込めます。ここからWASHハウスに各種運営費を支払い、光熱費を差し引くと、50万円程度が手許に残ります。年間の利益は600万円程度の計算になります。

九州に3店舗を展開するFCオーナーは、土地代込みで5,000万円の初期費用で、年収600万円の収入とのことです。

投資利回りで考えれば12%。別途、投資している賃貸マンションの6~7%より高い

一見、利回りとしては魅力的な投資先ですが、いくつか気をつけないといけない点があると思います。

一つは「競合」の存在です。

これまで、コインワンドリーをチェーン展開する競合は存在しなかったそうですが、儲かるビジネスであるならば、当然、競合が参入してきます。

最近ではチェーン展開する競合も現れた。「当社のビジネスモデルは簡単にはまねできない」(児玉社長)とは言うものの、利用者にとってはWASHハウスを選ぶ決定打に欠ける面もある。技術的には既に成熟し、洗濯、乾燥自体の性能ではどのコインランドリーも大きな違いがないからだ。

コインランドリーは誰でも簡単にはじめられるビジネスです。参入障壁はほとんどありません。自分が投資したコインランドリーのすぐ近くに、数年後に新しいコインランドリーができるかもしれません。当然、利用者の奪い合いになり、単純計算で売上が半分に落ち込むリスクがあります。しかも、新しいコインランドリーの方が綺麗なので、利用者はそちらに流れがちです。さらに、近くにもう1件コインランドリーができたら・・・、もう壊滅的です。

コンビニのFCオーナーが、近くに新しいコンビニができてやっていけない、と嘆いているのと同じ状況が容易に想像できます。

もう一つは、洗濯機や乾燥機の設備、建物のリニューアル費用です。

業務用洗濯機の耐用年数は13年で長期的には修繕費や買い替え、建物のリニューアル費用などがかかる

13年ということは、10年くらいで壊れはじめ、修理や買い替えが必要になると考えておくことがリスク管理としては妥当でしょう。投資利回りが年12%だとして、元本の回収には10年近くかかります。ようやく元本が回収できたころ、今度は大きなメンテナンス費用が発生する時期に差しかかります。最終的な投資損益がプラスになるのは、さらに先ということです。当然、この頃にはコインランドリーの利用や競争環境もはじめた当時とは変わっているでしょう。

年率12%というのは一見するととても魅力的ですが、競争力や将来の追加費用を考えると、リスクが大きいように思います。こういった「箱物投資」は、どれだけ素早く投資元本を回収して、利益を上積みできるかが勝負なので、10年というのはちょっと長すぎます。

既に土地と、コインランドリーとしてすぐに使えそうな建物を持っていて、初期費用が最低限必要な2,300万円で済みという場合は、4~5年で元本を回収できる計算になります。この条件ならば、一考する価値はあると思いますが、土地や建物の取得から全額投資する、というのはちょっと危ないと思います。

出典: 遠隔管理で400店以上を展開:日経ビジネスオンライン