キヤノングループを利益率約10%の優良企業へと変貌させた働き方改革

1999年にキャノンの社長に就任した酒巻社長は、強いリーダーシップのもとで働き方改革を実行し、部品メーカーだったキャノンを6年間で利益率約10%の優良企業へと変貌させました。

酒巻社長は1999年にキヤノンより就任し、キヤノングループ内の普通の部品メーカーだった同社を利益率約10%の優良企業へと変貌させた。


酒巻社長は残業規制を中心とした現在の日本企業の働き方改革に危機感を抱いています。

多くの企業で行われている働き方改革をみていると、日本の未来が危うい気がする。


働き方改革は、残業規制だけではなく、「生産性向上」とセットで行わなければ意味がありません。

その柱はただ残業を規制したのではなく、生産性向上の取り組みとセットでやってきた。

多くの企業が実践しているような勤務時間を制限しただけでは無理で、生産性を高める工夫が不可欠だと思う。


生産性向上の第一歩は、徹底的に「無駄を排除すること」です。

働き方改革の大きな柱は生産性を高めるために徹底的に無駄を排除することだ。


人は、今までのやり方を変えることに抵抗を感じる生き物です。頭で必要だと分かっていても、変更後のやり方がどんなに素晴らしいものでも、これまでの慣れ親しんだやり方を変えることには、感情的に、無意識に抵抗を感じます。変革を進めるためには、強いリーダーシップのもと、「ルール」で強制的に行う必要があります。

遅々として改革が進まないと困るので、ルールで縛り変革するよう追い込んできた。


キャノンでは、始業から30分の間、パソコンの使用を禁止しています。

具体的には始業開始から30分間、パソコンの使用を禁止している。


メールの返信というのは、「受動的」な行動で、それ自体は何も生み出さない、「生産性の低い」仕事だからです。

一般的にありがちな行動は、パソコンを立ち上げメールに返信することだと思う。メールの返信は受動的で何も生み出さない。工場勤務者は始業前に当日の段取りを考えている。一方で事務職は会社に着いて30分もメールで「遊ぶ」なんておかしい。


話せば30秒終わることを、何分もかけてメールで返信するのは、コスト意識が足りない証拠です。ルールを守れない場合は、パソコンの没収、降格など、厳しい罰則が用意されています。

では30分間、何をすべきなのか。管理職であれば、自分の指示が部下にきちんと伝わっているか確認する。会って話をすべきだと話す。このルールを徹底するため、同じフロアでメールを送ったことが発覚した場合、3回でパソコンを没収、5回で降格となる。話せば30秒で終わることを長々とメールで送っていることがコスト意識が足りない証拠だと思っているからだ。


さらに、終業時間以降のパソコン使用も厳しく制限しています。

我が社では18時以降、申請がない限り、社内ネットワークにつながるパソコンはすべて電源が切れるようにした。


残業はあくまで「特例」です。残業をするのは、管理職の指示か、本人の能力、どちらかに問題があります。

残業はあくまでも特例で、業務時間内に終わらないのは管理職の指示か、本人の能力のどちらかに問題がある。管理職が仕事の優先順位をきちんと付けていたら、その日の仕事は終わるはず。指示内容が的確なら、本人の能力が不足しているからだろう。


「研究」や「学習」は、新しいものを生み出す、「生産性の高い」仕事なので、残業が認められており、残業代も支払われます。

ちなみに残業を認めているのは新しい研究だけ。図書館で考え事をしたり、文献を読んだりすることに対しては残業代を払っている。


「会議」は基本的に立ったまま行います。そのための環境として、社内にはいくつもの「立ち会議専用机」が配置されています。

まず会議だ。外部の人が参加する取締役会を除き、基本的に立ったままでやることにした。

社内には立って会議ができるようにいくつも立ち会議専用机を配置した。


1回の会議は15分程度です。

立ち会議で必要最低限の人数でさっと集まり、15分程度で切り上げるようにした。


「無駄」を省く一方、必要な部分に「投資」をします。その一つとして、生産性向上に寄与した社員、パートに対しては、5万円の「報奨金」が出ます。

業務の生産性向上に寄与した社員やパート社員に対し5万円の報奨金を支払っている。さらに私が直筆で社員の家族に「社内で貢献して頂き感謝している」といった内容の礼状も添える。こうした物資と精神両面から、アイデアを出したいと思わせる雰囲気を作る。


「アイディア」は無料ではありません。アイディアを出すための仕組みと、それに報いる報酬が必要です。

総勤務時間を短くしたらアイデアが出ると考えている経営者もいるが、それはおかしい。ましてや無料では出てこない。しっかりと社員に報いなければならない。アイデアを出してもらうには手間がかかることを、経営者が理解することが重要だと思う。


「食」にも積極的に投資しています。

食については社員食堂を充実させた。社食で高級料亭の料理を安価に出したり、メニューを充実させたりしている。美味しいものを食べれば多少ハードな仕事も頑張ろうと思えるようになる。


プレミアムフライデーの導入でも成果が出ています。たったの「3時間」を削減できないのは、工夫が足りない証拠です。

多くの企業が成果が得られないと嘆くプレミアムフライデーも導入し、成果も出ている。たった3時間分を削減できないのは工夫が足りない。社員の反対を押し切って導入した。


プレミアムフライデーで早く退社した時間は、飲みに行くのではなく、自宅へ帰ることを推奨しています。

早く退社して飲みに行くのではなく、自宅へ帰ることを奨励している。

出典: キヤノン電子・酒巻社長直伝「本物の時短」とは:日経ビジネスオンライン